今回は、災害時に必ず問題となるトイレについてお伝えします。
熊本地震では、非常に多くの地域で断水が起こりました。水が出ないという事は、トイレもお風呂も手洗いも料理も、生活にとって必要な事の多くができなくなります。
人間の身体にとって非常に大切な水分補給ももちろんですが、トイレもとても問題になりました。トイレは生理現象なので、どんなに我慢しても必ず行かなければなりません。成人の1日の排尿回数は4~8回です。
そしてトイレはデリケートな問題なため、なかなか声を上げて意見を言うのが難しくもあります。
災害などの非常事態に、トイレを少しでも快適に使うことができるような工夫をご紹介しますので、参考になれば幸いです。
Contents
トイレが使えないことで起こる問題
【生活用水】災害時の断水対策のポイントでも少し触れましたが、トイレが使えないという事は心身ともに非常に大きな負担となります。
断水や破損でトイレが使えないと…
- 水が流せないので、不衛生・悪臭問題が起こる
自分の家はもちろん、避難先のトイレも同様に水が流せないことがあります。避難所が安全かと思い避難しても、トイレの状況が過酷で、手洗いも消毒もできないので耐えられずに自宅に戻った方もいました。 - 子どもや男性がトイレ以外のところで用を足す
子どもが我慢できなくて…でもトイレは不衛生で行きたくない…と、トイレ以外で用を足す事で悪臭などの原因にもなります。 - トイレに行く回数を減らすため、水分を控える
トイレは行きたくなくても行かなければなりません。もし、我慢し続けると身体に大きな負担がかかり、脱水症状や膀胱炎・腎臓病などを引き起こす可能性が高くなります。
また、仮設トイレが使えても、和式のため高齢者や体の不自由な方が使えないといった問題もあります。そして使えたとしてもやはり想像以上に多くの方が使うため、不衛生になりがちでした。
ここで文章で書く以上に、目の当たりにすると精神的に非常に辛くなります。次々起こる余震に気を張りつめ、先が全く見えない状態で、まともにトイレに行けない・経験したことがないほど不衛生な状態を耐えなければなりません。
災害時用に簡易トイレを準備しておく
一番良い方法は、水をお風呂やバケツなどに溜めておき、トイレの度に水を流す方法です。しかし、水を溜めていてもすぐに無くなったり、給水車から貰う水も量が決まっている・人が多すぎて貰えなかったなど、確保が難しいのが現状です。
コツを掴めば上手くなるので、一度お家で試してもいいと思います!
また、慣れないと水が飛んだりこぼれたりするので、不要なタオルなどを切って使い捨ての雑巾を作っておきましょう!
また水を確保できても、配管が破損し汚水が漏れてしまう、家がマンションで高層階のため運ぶことが難しいといった問題もあります。
そんな時に用意しておくと便利なのが簡易トイレです。
簡易トイレの種類
簡易トイレは検索するとたくさんの種類が出てきますが、携帯用のトイレ・折り畳み式のトイレ・自宅のトイレに付けるタイプの3つのタイプです。
携帯用トイレ
携帯トイレは、価格も手頃で取り扱う店も多いので一番用意しやすい簡易トイレです。手軽に使えるのが魅力ですが、選び方のポイントとしては、殺菌(除菌)・消臭効果がある携帯トイレであるかという事です。もしただ固めるだけだと悪臭や雑菌で非常に不衛生になります。
折り畳み式簡易トイレ
ちゃんと座ってトイレができる、折り畳み式の簡易トイレもあります。私が避難した公園の避難所でも、このタイプを使っていました。熊本地震後に同様のものを購入し、コンパクトなので車のトランクに備えています。耐荷重も100kgで座ってもグラつかずに丈夫でした。
公園のトイレは和式のみだったため、座れるタイプのトイレは高齢者の方の負担を少しでも減らせたと思います。(できれば高さはもう少し欲しいところでしたが…)
使い方も簡単で、用を足して凝固剤を入れるといった物でした。避難先ではトイレの場所を物置の中に設置していましたが、野外で隠れる所が全くないという方は、丈の長さが十分にあるトイレの目隠しポンチョや一人用ポップアップテントを活用する方法もあります。
自宅のトイレに設置する簡易トイレ
非常時・災害時・断水時の備えに!1回あたり60円の防災トイレ『シートイレ』
自宅のトイレに袋を設置して、前述のトイレと同様に処理をするタイプです。凝固剤だけではなく、シート状の吸水ポリマーを入れて用を足すとゼリー状になって固まるといった便利なタイプもあります。いつも使っている便座は一番座りやすく慣れているので、自宅に戻ることが可能な場合はこちらがおすすめです。
トイレの凝固剤を十分に備える
凝固剤のみを備えておくのもおすすめです。断水はいつまで続くか分かりません。念のためにビニール袋とセットで準備しておくと安心です。次の項目で説明する簡易トイレの作り方の場合にも凝固剤は活躍します。
簡易トイレの作り方
簡易トイレを用意していない・凝固剤が足りない、という場合は自分で簡易トイレを作りましょう。
用意するもの
- ビニール袋・ポリ袋
- 新聞紙
- バケツ・段ボール(既存のトイレが使えない場合)
簡易トイレの作り方
- 便座にビニール袋を被せる。
- ビニールの中にクシャっと丸めた新聞紙(吸収性を高めるため)を入れる。
- バケツの場合も同様
- 段ボールの場合は、組み立てた段ボールの中心に用が足せるほどの穴をあけて同様に作る。
- 利用後は、ポリ袋の空気をできるだけ抜き、しっかりと密閉するように結ぶ。
私は中に新聞紙を入れる方法しか知りませんでしたが、猫砂やペットシートでも代用できるそうです。また、この簡易トイレは非常事態に利用するためのもののため、消臭・殺菌が難しいです。あくまで緊急時用として覚えておくと役立つかもしれません。
また、汚物はどうしても気になるので個人的には驚異の防臭袋 BOS (ボス)があったほうが良いと思います。サイズはLサイズが十分な大きさがあるので安心でしょう。BOSは子どものオムツ時代からお世話になっており、どの袋よりも臭わないと実験済みです。ドラッグストアなど身近で手に入るのでおすすめですよ。
オムツも緊急時のトイレとして活躍
簡易トイレを使わない方法としては、オムツがあります。赤ちゃんや小さい子どもがいる家庭では準備している方も多いと思います。
私は上の子が3歳でオムツは卒業していたのですが、使わなくなったオムツを保管していました。せっかくオムツを卒業していたのですが、非常時なのでまたオムツで過ごしました。精神的に不安定な時間が続くので、オムツが再度必要になる子もいました。
また、高齢の方もオムツが役立ちました。私の祖母もですが、避難時にトイレに行くのは本当に大変でした。携帯用トイレなどと比べると価格が高めではありますが、自力でトイレに行くことが難しい場合やトイレの用意ができない場合には、備えとして大人用のオムツがあると安心です。
以上のように、トイレは災害時に非常に重要な問題になります。万が一の際に少しでも対処ができるように、普段からの備えを怠らないようにしましょう。また、緊急時には自分だけでなく、周りの方にも簡易トイレの方法を伝えるなど、協力し合う事も大切です。