【避難③】公園への避難から車中泊・避難所への移動

避難についての記事の続きです。避難所での生活や周りの方との関わり方についてお伝えします。避難所によって過ごし方や様子が異なりますが、おおよそどのような所か把握しておくと万が一の震災時にスムーズに行動できる可能性があります。現在では新型コロナウイルスの蔓延により避難所の運営方法も変わっていると思いますので、参考としていただけますと幸いです。

避難所の広さと人数は合っているのか?

人混み
今回避難した施設は、大きい体育館などではなく、およそ20畳弱ほどの部屋が3~4部屋ほどありました。狭さもあり、優先的に避難できるのがご年配の方や子どもでした。

それでも一部屋に12~14人は避難していたので、一人当たり1畳もない状態でした。狭いのですが、外は大雨で、特に車を持っていない方は自宅に帰るか避難所に入るかどちらかという状態でした。

他の避難所も同様かそれ以上で、横になるスペースがほとんどない方も多くいらっしゃいました。後々、冷静になったり周囲が落ち着きを取り戻すと、どう行動するべきかなどが見えてきました。しかし震災直後のピリピリとした緊張状態と先の見えない漠然とした不安がある状態ではそれすら難しかったように思います。

狭くても過ごしにくくても、とにかく安全な所へ!という気持ちで避難所を利用する方が多かったです。また、一人で地震に耐え続けるのではなく、周りの方と話したり関わったりすることで、多少なりとも気が晴れるというメリットもあります。

昼間は避難所・夜は車中泊のパターンが多め

車避難

避難してすぐは周囲の人々と一緒にいることが安心につながっていました。ただ、時間が経つにつれて皆の気持ちや行動に変化がでてきました。

プライバシーが気になる!心から落ち着くのが難しい

狭くても大丈夫…とはいってもやはり時間が経過するにつれ、他人との壁が全くないプライバシーがないことについてのストレスが蓄積していきます。

何をするにも人の目が気になりますし、実際見られていなくてもすぐ他人の視界に入るような状態では心から落ち着くのが難しくなります。ちょっと着替えよう、ちょっと横になろう、というときにも常に周囲に気を配り続けなければなりません。

そのため、昼間は避難所で過ごし、夜になると車で寝泊まりをする方が非常に多かったです。

赤ちゃんや子どもの声や泣き声、授乳の問題

私は昼間は家の片付けをする以外は避難所で過ごしていました。そして夕方頃になると、車に戻り寝泊りをしていました。

私も1才と3才の子どもがいるため、周りへ気を配ることが、震災の疲れと重なって日に日につらくなってきました。これは赤ちゃんや子どもと一緒に避難している方の大半が抱えていたストレスだと思います。

「赤ちゃんの声は元気になるから気にしないで!」「大丈夫ですよ!」と言ってくれる方も多くいらっしゃいます。しかし、みんながみんな子ども好きだったり泣き声が平気なわけではありません。

赤ちゃんや子どもの声くらいで…と思う方もいますが、世の中にはたくさんの人がいます。どうしても小さい子どもが苦手だったり、甲高い赤ちゃんの泣き声がストレスになる方もたくさんいます。さらに子どもが小さいほど静かにするということがまだよく理解できません。

お父さん・お母さんは、それを常に頭に入れて行動しなければならないので、自ずと避難所から足が遠のいてしまいがちです。

また赤ちゃんは、授乳の問題もあります。ケープやタオルで隠してもどうしても不特定多数の方が過ごす避難所では落ち着いて授乳できません。お母さんの不安な気持ちは赤ちゃんにも伝わってしまうことも。そのため、一時帰宅(とは言っても余震の恐れですぐ逃げられる玄関など)や車に戻って赤ちゃんのお世話をするお母さんが多くいました。

プライバシーや子どものことを考えた対策とは?

このようなことが各所で起きていたため、様々な支援・対策がありました。
例えば、

  • 屋外避難用のテントの提供
  • 段ボール簡易ベッド・間仕切り
  • 赤ちゃんとお母さんのための専用避難所

など、多くの方の支援や協力によって、避難所生活の改善が行われました。これまで起こってきた災害の避難時に活躍した物を、熊本地震の際にも即座に活用してもらい、助けられた方はとても多くいらっしゃいます。

また、母子専用の避難所はなかなか広まらず利用できた親子は少なかったようです。お母さんと赤ちゃんにとって安全に落ち着いて育児ができる施設はとても重要です。今回の熊本地震の経験を元に、熊本だけでなく各地での災害時にスムーズに避難できるように、事前の周知・情報の共有が必要だと感じました。

避難所での食事と衛生面への懸念

おにぎり

避難所での食事(炊き出し)

私がいた避難所は指定避難所ではないため、炊き出しなども自分たちで行いました。余震の隙を見て家から食べられそうなものを持ち寄り、公園でガスコンロなどを使い料理をしていました。

避難場所によっては、炊き出しの長い列を待っても人が多すぎるなど何も貰えなかったとことも多々あったそうです。みなさん少しでも開いている店を一生懸命探していました。お店によっては無料や格安で料理を店先で提供するところもありましたが、道路状況などにより車移動が難しいのでなかなか食べ物が手に入りません。

私はたまたま避難先に恵まれていましたが、やはり自分である程度の用意や準備をするべきだと痛感しました。特にお年寄りや子どもがいると思ったように行動できないことが多々あります。人数が多い分、必要な食事数も増えるので準備の際にも意識して備えましょう!

避難所での衛生面問題

避難所で気になるのが衛生面ですよね。いつもとは全く違う大勢の人がいる状況で、特に断水が衛生面への不安をつのらせます。

これまで全く水が出ない、という状況はマンションで行われる点検の一時断水(2~3時間くらい)しか経験がなかったので、水が使えない怖さを初めて知ることとなりました。

一応家のお風呂には、4月14日の地震をうけて満タンに水を張っていたのですが、16日の本震でガンガン揺れて水の量は半分以下になっていました。

避難所ではトイレ用にとにかくたくさんのバケツに水を入れ、井戸水などが出る所から汲んできたりもしました。直接バケツから水を流すのですが、上手くいかなかったり、キレイに使ってくれない方もいたので、多くの方がかなりのストレスを感じたと思います。

特に大きな避難所ではそれがさらに非常に酷い状況だったようで、トイレだけは家に帰る水分を取らずにトイレの回数を減らす(とても危険!!絶対ダメ)などの対処をしていました。

また、手洗いなども満足にできないため、各自家にあるアルコール除菌スプレーなどを持ち寄り、とにかく殺菌・滅菌に注意深くなっていました。

避難所で被災者が必要な情報(ゆっぴー安心メール)

メール
地震直後から色んな情報が錯綜していました。以前お伝えしたデマ情報のように、避難所でもどんどん情報が流れてきました。

”ここで炊き出しをしています!””この道路は通れません!”など役立つ情報も、もちろんたくさんあり重宝しました。

また、多くの人が注目したのが、犯罪情報です。避難所で家を離れている間、空き巣の被害を防ぐため戸締りの確認や、避難所で女性や子供を一人で行動させないなど、地震以外の考えられる危険性の情報がとても役立ちました。

東日本大震災など、大きな災害で避難生活を経験した方々からの情報提供や、県の公的機関(熊本県警のゆっぴー安心メール)からの情報が生かされる場面が多々ありました。

ただでさえ不安な状況の時にさらに不安を煽るような情報もありましたが、注意深くなることで、身を守れた方も多くいらっしゃると思います。実際に起きている事件や正しい情報が分からない場合は、まずは公的機関の情報を確認することをおすすめします。

人と関わりあう事の大切さ、話すことでの安心感

励ます
経験したことがない大きな災害にあって、大きな不安に襲われパニックになっているときに、誰かとその気持ちや状況を共有し、互いに励ましあうことがとても大切だと分かりました。

避難所にいる時にも容赦なく余震が続きました。余震が起こるたびに皆に緊張が走りましたが、地震が止まると「怖かったですね」「大きい地震にならなくて良かったですね」などと、自然に話していました。

たったそれだけですが、一人で不安を抱え続けることに比べ格段に気持ちが楽になりました。

避難所に集まるのはその地域の人々とはいえ、今までほとんど関わったことがなく初めて会う人がほとんどでした。しかし、今回同じ避難所で出会ったことで、地域の絆も深まったように思います。(もちろん、逆もあったと思います…。)

それは私だけでなく、他の地域でも同様に、周囲との関わり合いが増えたという話をよく耳にします。誰とでもとにかく仲よくしよう!という事ではありません。ただ、もしこのような緊急事態に陥り不安な時は周りの方と少し話してみてください。女性の方は同性の方に声をかけてみるのもおすすめです。

女性の場合は特に、女性同士で話し合う方が安心できたと思いました。

きっと相手の方も不安な気持ちは同じでしょうし、お互いに安心できると思います。どんなことでも良いんです。お互いつらい思いや苦しい思いを吐き出しましょう。

また、一人で不安そうにしている方にはちょっと声をかけてみてください。きっとあなたの一言で安心できる方もいますよ。

大きな震災直後は、心身ともに限界の状態ですが一人一人の誠意ある行動が少しでも前に一歩進む手助けとなります。

また、震災後すぐから熊本に駆けつけ、支援をしてくださった自衛隊ボランティアの方々への感謝の気持ちは言葉では表せません。

余震でいつ自分の身にも危険が及ぶか分かりません。

それでも、他人のために一生懸命活動してくださる姿に多くの人々が心から感謝し感動しました。

スポンサーリンク
広告(くま大)
広告(くま大)

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
広告(くま大)