熊本地震では多くのニュースなどで取り上げられたように、車中泊・車中避難が非常に多かったです。車中泊を選択する理由は人それぞれです。今回はその中でも、車中泊を赤ちゃんや小さい子どもと一緒にする、という場合におすすめの対策や注意点をお伝えします。
私自身も、熊本地震の際は1歳と3歳の子どもと一緒に車中泊をしました。子どもとの車中避難は大変ですが、1つでも参考になれば幸いです。
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「おうちがこわい!」一時避難のつもりが長期避難に
経験したことのない激しい地震。大人もパニックになってしまうほどの恐怖がありました。小さい子どもだと尚更です。避難する=危険な場所から離れる、ということです。その危険な場所と言うのが地震の場合、多くの方にとって自宅です。
避難というと避難所を思い浮かべます。しかし赤ちゃんや子どもがいる家庭では、「騒いでしまうかも」「泣き声が響くかも」「授乳などプライバシーが不安」など、さまざまな理由で避難場所として車を選ぶ方がたくさんいました。
子どもにとっていつも楽しく過ごしていた場所が、地震により恐ろしい場所となってしまいます。大人は「安全性が確認できたから、そろそろ自宅で過ごしてみようか…」と考える余裕があるかもしれません。
しかし、子どもはそうはいかない場合があります。理屈ではないんですよね。そのため、一時的な避難のつもりが長期的な避難に繋がってしまう事があります。
私の周囲でも、自宅に戻れる状態でも車中泊を続ける方や、寝る時だけは車を使うという方もいました。
避難時の内を清潔に!できるだけ汚れを防ごう
子どもは食べ物や飲み物をよくこぼしたり落としたりします。普段なら「またか~、サッと拭いておこう」くらいで終わるのですが、親も避難中には精神的に余裕がありません。
しかも車のシートはなかなか洗うことも難しいので、思った以上のストレスとなる場合があります。余計なストレスを溜めないように、ちょっとした工夫を取り入れてみましょう。
ポリ袋・防水シート・吸水シート
とにかく汚れを車内に付けないために、車にポリ袋を用意しておきましょう。食べこぼし対策として、大きいポリ袋は車内での食事のときに敷くのがおすすめです。大きく使いたいときにはサイドをカットして広げられます。
さらに、防水シートや特にペットシートなどの吸水シートはおねしょ対策としておすすめです!オムツを卒業していても、地震で精神的に不安定になりおねしょをする子もいます。車におねしょはその後が大変ですよね。
使い捨てのペットシートを敷いた上に寝ることで親も安心して眠れます。小さめですが100均にもあります。カサカサして気になる場合は、シートを数枚並べてその上にタオルなどを敷きましょう。
シート部分がタオルより小さいと、タオルを伝って周囲が濡れることがあるため注意が必要です。
ペットボトルにはキャップ付きストローがおすすめ
特に小さい子どもはストローが必須です。物資で水やお茶が配られるときはほとんどがペットボトルです。おすすめはペットボトルにストローをセットできるキャップタイプ。100均のストローコーナーでよく見かけます。
毎回ストローを替えれば衛生的ですし、なによりこぼす心配も少なくなります。私は個包装のストロー(1袋50本入りくらい)をあわせて用意しています。
他にもコップにピタッとくっつく蓋など、水漏れを防止できるグッズもあるので、1つ用意しておくと重宝しますよ。
ストローキャップ 飛び出すストロー沸騰消毒可能
簡易テーブル
折りたたみテーブルや、クーラーボックスなど何かテーブルになるものがあると便利です。元から車にそのような装備があればいいのですが、私の車にはなかったため車内での食事が大変でした。
運転席や助手席の背面に、飛行機や高速バスのようにテーブルが付けられるカー用品もあります。私は地震後に2種類購入しましたが、ヘッドレストに通して使うタイプが安定感がありました。
携帯トイレ・オムツ
これは前述のおねしょの話にもつながるのですが、精神的な影響で急にトイレが近くなる・オムツが必要になる、ということもあります。私の子どももオムツは卒業していたのですが、一時的にですがオムツに戻りました。
オムツでなくても、パンツに付けるトイレトレーニング用の吸水パッドがあると安心です。いざとなれば緊急時のトイレとして大人も使えると思います。また、オムツと一緒に防臭タイプのごみ袋も用意しておきましょう。
子どもならではの車中避難の注意
車内での生活は、大人にとっても子どもにとってもなれない状況です。子どもは精神的にも身体的にも成長途中です。そのため車の仕組みを知っている大人では大丈夫なことでも、子どもにとっては危険な場合もあります。
窓やドアのチャイルドロック
「避難中だから大人しくね!」などは通用しません。もちろん親との約束をしっかり守れる子どももいますが、「これは何だろう?」と好奇心で窓やドアを触ってしまうこともあります。きちんとロックをかけておきましょう。
私は下の子がギリギリ歩く位の時期だったため、興味津々で車内を触っていました。ロックをかけ、シートから落下しないようになど、目を離さないように心がけていました。
ダニ対策!ダニ除けやかゆみ止めを
とにかくダニは厄介です。私も子どもも車中泊で、ダニに噛まれてかゆくなりました。布団についていた可能性もありますが、明らかに車中泊を始めてからでした。
特に地震などの災害時は精神的にも肉体的にも負担があり、免疫力が低下しかねません。免疫力が低下していると、場合によってはダニアレルギーを発症したり悪化させてしまう危険性があります。
ダニの死骸を吸い込むことでもアレルギー発症につながる可能性も。ダニくらい…と思わずにきちんと掃除や対策を行いましょう。ダニ除けスプレーやシートが手軽に使えますよ。
また、もしもかまれてしまった場合に備えて、かゆみ止めもあると安心です。かゆみは非常にストレスでした。
避難時の車中泊、シートを快適なベッドにしよう の記事後半にダニ対策を書いていますのでご参考に。
赤ちゃんは、車内での地震の揺れに注意
車中泊は安心感がありますが、地震でとても揺れます。そのため身動きが上手くとれない赤ちゃんは、揺れによって車内で頭・身体をぶつけたる、シートから落ちる、などの危険性があります。
できれば赤ちゃんの両側を守る寝返りクッションのようなものがあれば便利です。ぶつかって危ない部分には、タオルを丸めたり重ねたりするのもおすすめです。しかしどの場合でも絶対に赤ちゃんから目を離さずそばにいましょう。
寝る前など恐怖心を解消する灯り
熊本地震は前震・本震共に夜だったので、子どもたちは特に暗闇を怖がる傾向にありました。そんなときに役に立ったのが、やはり”明かり”です。
普通の懐中電灯ももちろん便利でしたが、キラキラ七色に光るライトのキーホルダーを持っていました。そのキーホルダーを車のアシストグリップ(ドアの上の取っ手)に付けて気を紛らわせました。
ほかにも、手を使って蝶や犬を形作る昔懐かしい影絵で遊んでリラックスさせる方もいました。
(その他)チャイルドシートの保管場所
チャイルドシートは子どもの命を守るために作られているので、とても頑丈で大きいですよね。そのため、車中泊のためにシートから外すと置き場所に困ります。
車の種類や造りにもよりますが、座席の下・トランク・運転席・ダッシュボード上(フロント窓の部分)などに上手くはめ込みましょう。ただし落下には注意が必要なので、できるだけ下が良いです。
しかしコンパクトカーでどうしてもスペースがない場合は、家に置いておきましょう。(もちろん家が倒壊の恐れが無いかなど安全が確保できればですが。)面倒に感じますが、子どもを載せて車を動かす場合は必ず再度装着します。
また、チャイルドシートでの就寝は避けた方が良いと思います。チャイルドシートは命を守るため赤ちゃんや子どもをしっかりと固します。そのため赤ちゃんや子どもにとってチャイルドシートに長時間いることは非常に窮屈ですし、メーカーの説明書きにも長時間の使用は控えるよう書いてあります。
必ず大人と一緒に行動を!車内を子どもだけにしない
車だから安全だろうと思って、車内を赤ちゃんや子どもだけにしないよう気をつけましょう。
子どもは突然思ってもみないことを行動に移すこともあります。「普段から大人しい子だから」「しっかりと言い聞かせているから..」では通用しない場合もあります。
また、災害時は不特定多数の被災者が多くいます。災害時にも犯罪が起こる場合があります。周囲の全員を把握することは難しいです。
普段から気をつけているとは思いますが、特にこのような場合は子どもは親や祖父母など大人と一緒に行動しましょう!それは車内でも同じです。絶対に子どもたちだけにしないように。
災害が起こらないことを願いますが、もしも自分の地域で起こった場合、子どもの身も心もしっかりと守れるよう対策や想像してみることが大切です。